説明

関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスク評価

本発明は、関節リウマチを患う患者のさらなる評価を補助するインビトロ法に関する。特に、本方法はRA患者が疾患進行のリスクがあるかどうかの評価に使用される。本方法は、例えば、生化学マーカーを解析することで行われ、試料中の少なくともC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の濃度を測定する工程、ならびに測定された濃度と基礎となる急速に進行する形態のRAの可能性とを相関させる工程を含む。急速に進行する疾患のリスクが高い患者は、治療の必要がある患者または既に治療されている場合に異なる治療およびより効果的な治療の必要がある患者であり得る。また、本発明は、関節リウマチを有する患者の評価におけるC反応性タンパク質およびインターロイキン-6を含むマーカーパネルの使用に関し、本発明の方法を行うための、タンパク質アレイデバイスおよびキットのそれぞれを教示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチを患う患者のさらなる評価を補助するインビトロ法に関する。特に、該方法はRA患者が疾患進行のリスクがあるかどうかの評価に使用される。該方法は、例えば生化学マーカーを解析することによって行われ、試料中の少なくともC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の濃度を測定する工程、ならびに測定された濃度と基礎となる急速に進行する形態のRAの可能性とを相関させる工程を含む。急速に進行する疾患のリスクが高い患者は、治療の必要がある患者または既に治療されている場合に異なる治療およびより効果的な治療の必要がある患者であり得る。また、本発明は、関節リウマチを有する患者の評価におけるC反応性タンパク質およびインターロイキン-6を含むマーカーパネルの使用に関し、本発明の方法を行うための、タンパク質アレイデバイスおよびキットのそれぞれを教示する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチ(「RA」)は慢性、炎症性の全身疾患であり、罹患した関節、特に手および足の関節において最も顕著な発現が生じる。関節リウマチの発症は、数週間〜数ヶ月の範囲でゆっくりと生じ得るか、あるいは状態が急性様式で急速に現れ得る。
【0003】
RAは世界中に分布し、全ての民族集団が関与する。疾患は任意の年齢で生じ得るが、年齢と共に罹病率が増大し、ピーク発生率は40〜60年である。北アメリカ集団の罹病率推定値は0.3%〜1.5%で変化する。今日、米国だけで2,500,000を越える個体が関節リウマチと診断され、いくつかの統計によって、6.5〜8百万人が潜在的に疾患に罹患していることが示されている。女性は男性よりも2〜3倍高く罹患する。
【0004】
関節リウマチの初期症状は、関節のはれまたは痛みを有する痛みのある関節のようにほとんど関節特異的であるが、むしろこわばり、熱、皮下節および疲労のような非特異的な発現を含み得る。関節の対称関与が非常に特徴的である。手、足、ひざ、および手首の関節が最も一般的に罹患し、結果的に尻、ひじおよび肩が関与する。疾患が進行するにつれて、任意の種類の運動は、非常に痛みがあり、かつ困難になり、結果的に関与する関節の機能低下をもたらす。関節リウマチのより重篤な症例は、強い痛みと関節破壊をもたらし得る。約300,000の骨および関節置換外科手順が、関節炎と関連する関節破壊から生じる痛みおよび運動性損失を軽減するように毎年努力して行われている。
【0005】
RAを分類するために最も広く使用される系は、1987年に改訂されたRAの分類のための米国リウマチ学会基準である(Arnett, F.C., et al., Arthritis Rheum. 31 (1988)315-324)。これらの基準(ARA基準として公知)によれば、患者は、患者が以下の7つの基準:1)朝の少なくとも1時間のこわばり、2)3つ以上の関節領域の関節炎、3)手関節の関節炎、4)対称の関節炎、5)リウマチ節、6)血清リウマチ因子(「RF」)、ならびに7)X線写真変化の少なくとも4つを満たす場合にRAを有すると言われ、基準1〜4は少なくとも6週間存在しなければならない。これらの基準はおよそ90%の感度および特異性を有する。
【0006】
RAの組織学的変化は疾患特異的ではなく、関与する器官にも大きく依存する。一次炎症関節病変には滑膜が含まれる。最も初期の変化は、電子顕微鏡で写真にした場合に管腔の陥入、内皮細胞の膨張、および内皮細胞間のギャップを有する滑膜の毛細血管に対する障害である。この段階は通常、細胞層に並んだ表層の穏やかな増殖と相関する。2つの細胞型:マクロファージ特徴を有する骨髄由来A型滑膜細胞および間質B型滑膜細胞が滑膜層を構成する。両方の細胞型は滑膜過形成に寄与し、これらの2つの細胞型間でのパラクリン相互作用が示唆される。この段階の炎症は、かゆみ、むくみ、およびフィブリン滲出と関連する。初期疾患で細胞濾過が起こり、最初に主にTリンパ球からなる。炎症の結果として、滑膜は血管および滑膜線維芽細胞の増殖ならびに滑膜層の複製および拡大から肥大する。
【0007】
顆粒組織は軟骨まで広がり、パンヌスとして公知である。該組織は滑膜と骨との間の周辺での関節周辺骨および軟骨に能動的に侵入し、これを破壊するが、これは糜爛性RAとしても公知である。
【0008】
RAの関節発現は2つのカテゴリー:炎症性滑膜炎に関連する可逆症候および症状ならびに滑膜炎によって生じる不可逆構造損傷に分かれ得る。この概念は、疾患の段階付けおよび予後の決定だけでなく医学または外科治療の選択にも有用である。典型的な患者における構造損傷は通常、一年〜二年の疾患の或る時に始まる(van der Heijde, D.M., et al., Br. J. Rheumatol. 34, Suppl. 2(1995) 74-78)。滑膜炎は変動パターンを伴う傾向があるが、構造損傷は前の滑膜炎の量の線形関数として進行する。
【0009】
RAにおける初期事象の病因は分からないままである。自己免疫成分は今日広く受け入れられているが他の因子がなお問題とされている。細菌またはウイルス感染の可能性が活発に追求されている。単離、電子顕微鏡、または分子生物学によって感染因子とRAとを関連付ける全ての努力が失敗している。RAの単一主要原因はなく、種々の機構によって最初の組織損傷がもたらされ、滑膜炎症が促進され得るという可能性はある。
【0010】
滑膜炎の臨床症候はあいまいであり得るが、しばしば主観的である。温かく、腫れた、明らかに炎症した関節は通常、最大活動期の炎症性滑膜炎のみに見られる。軟骨損失および関節周辺骨の糜爛は構造損傷の特徴的な性質である。構造損傷と関連する臨床性質は機能的および解剖学的に進行性の悪化を特徴とする。関節に対する構造損傷は不可逆であり、付加的である。
【0011】
縦断的な臨床および疫学研究のデータは治療のガイドラインを提供する。これらの研究は、1)初期診断の必要性、2)予後因子の同定、および3)早期攻撃性治療を重要視する。好ましくは症状の発症後の最初の数ヶ月以内での、早期の診断および治療が不可逆の関節損傷の予防に役立ち得る。
【0012】
関節リウマチの有効治療には一般的に、治療、運動、休息および適切な関節保護治療の組み合わせが含まれる。特定の患者のための治療は、疾患の重篤度および関与する関節に依存する。非ステロイド抗炎症薬物、コルチコステロイド、金塩類、メトトレキサートおよび全身性免疫抑制剤が炎症および関節破壊を減らすために広く使用されている。しかし、ステロイドおよび免疫抑制剤の使用は、毒性および潜在的に致死状態への罹患に関して有意なリスクおよび副作用の両方を有する。「生物学的製剤」に基づくより最近の治療薬がRA治療に導入されている。例えば、かかる治療薬は炎症を有意に減らす可溶性レセプターおよびTNF-αに対する抗体である。非常に見込みがあるが、生物学的製剤は高いコストのために使用がいまだに制限されている。
【0013】
診断の確立または疾患進行のリスクの評価のための理想的なシナリオは、単一事象またはプロセスが例えば感染性疾患のようなそれぞれの疾患を生じる状況であろう。他の全ての場合において、正確な診断は特に疾患の病因がRAに当てはまるように十分に理解されていない場合に非常に困難であり得る。従って、RAでは、一般的に様々な臨床症状および生物学的マーカーがRAの診断または疾患進行のリスクの評価のためにまとめて考慮される。
【0014】
第一の生化学マーカーおよびRAの診断を補助するための一般的に受け入れられている唯一のもの(上記ARA基準を参照)は血清中で検出されるリウマチ因子(RF)である。最近、抗CCPと呼ばれる新規マーカーが導入された。環状シトルリン化ペプチドに対する自己抗体(抗CCP)がRAの診断のための感度および特異性が高いマーカーを示すことが多くの独立した研究で確かめられた。
【0015】
抗CCPはいくつかの研究者グループによって過去何年もの間鋭意研究されている(例えば、WO 98/08946; WO 98/22503; WO 99/28344; WO 99/35167; WO 01/46222; およびWO 03/050542参照)。最近、Schellekensおよび共同研究者(Schellekens, G.A., Arthritis Rheum. 43(2000)155-163)によって、特異的な環状シトルリン化ペプチド(CCP)に基づいたELISA試験が線形ペプチドを用いた同じアッセイと比較してRAの診断精度に関する優れた性能特性を示すことが報告された。
【0016】
CCPに対する自己抗体、即ち、患者血清中の循環シトルリン化ポリペプチドと反応する可能性が最も高く、かつインビトロアッセイでCCPと結合する抗体は「抗CCP」と呼ばれる。van Venrojiらの特許出願(WO 98/22503)には、特定のシトルリン化ペプチドが記載され、環化がこれらのペプチドに対する自己抗体の改善された反応性をもたらすことを示す。抗CCP抗体の検出のための抗原として改善されたCCPを使用することで、感度が対応する線形ペプチドの36%と比べて63%まで増大する。患者血清の自己抗体は種々の環状ペプチドに対して少し異なる反応性を有するので、アッセイをさらに改善するようにペプチドの組み合わせがWO 98/22503で示唆された。
【0017】
最近多くの研究グループによって、抗CCPがRFと比べてRAの診断を確立するための感度が高く特異的なマーカーでもあることが示され、かつ確認された。抗CCP自己抗体はRAに対して非常に特異的であり(およそ97%特異性)、感度はRFのものと同等である(65〜80%)(Lee, D. M.およびSchur, P.H., Ann. Rheum. Dis. 62 (2003)870-874; Pruijn, G.J.M., et al., Curr. Rheumatol. Rev. 1 (2005)1-7; Vallbracht, I., et al., Ann. Rheum. Dis. 63 (2004) 1079-1084)。
【0018】
さらに、抗CCPが有意な割合のセロネガティブRA患者で検出され得ることはさらなる診断に重要である(van Paassen, P., et al., Best Pract. Res. Clin. Rheumatol. 17(2003)475-494; Vallbracht, I., et al., Ann. Rheum. Dis. 63(2004) 1079-1084; Schellekens, G.A., et al., Arthritis and Rheumatism 43 (2000) 155-163)。このことは抗CCP自己抗体がRFに(セロ)ネガティブの患者の有意な部分に存在することを意味する。
【0019】
上記のように、RAの診断の確立および最適な治療選択の決定は容易な作業ではない。個体のRA患者における疾患の経過は有意に変化する。RAの不良な結果のための独特で一般的に受け入れられた組の指標は現在まで存在しない。悪い予後と関連する指標には、例えば、蓄積関節炎症、高いESRまたはCRPレベル、RF陽性、初期放射線糜爛、機能の不良スコアおよび有害な社会経済環境が含まれる。
【0020】
事情をさらに複雑にしていることには、RAにおける予後の評価はまた、明確で一般的に受け入れられた疾患進行の定義を欠如している。
【0021】
臨床症状、X線写真変化または身体機能についてのいくつかのスコアがRAの治療応答を評価するために開発されている。しかし、これらのほとんどのスコアは臨床試験設定のみで使用されているが、リウマチ学実務ではほとんどまたはまったく使用されていない。例は、米国リウマチ学会(ACR)およびリウマチ病欧州連盟(EULAR)によって改訂された種々の応答基準である(Felson, D.T., et al., Arthritis and Rheumatism 38(1995) 727-735; van Gestel, A.M., et al., Arthritis and Rheumatism 39(1996) 34-40)。ACR改善基準およびEULAR応答基準の両方は、臨床実施ではなく、臨床試験設定で広く使用されている。SharpまたはLarsenによるX線写真変化の評価のためのスコアシステムにも同じことが当てはまり、そのいくつかの改変が現在まで利用可能である。X線は規則正しい間隔でX線写真疾患進行のモニタリングのために撮られるが、これらはスコア化されずに以前のX線と比較されるだけである。
【0022】
さらに、欧州ではDAS(疾患活性スコア)およびその単純化(DAS28、SDAI、CDAI)が、治療中の疾患モニタリングに広く使用される。DASには、強く腫れた関節の数、ESRまたはCRPおよび疾患活性の包括的評価(VAS−視覚アナログスケールを使用する)が含まれる。小さい程度で、身体機能評価も疾患状態のモニタリングに役割を果たす。これらは種々の患者質問表−RAで最も広く使用されるHAQ(健康評価質問表)(Bruce, B.およびFries, J.F., Health Qual Life Outcomes 1 (2003) 20)およびSF-36(短い用紙36)(Talamo, J., et al., Brit. J. Rheumatol. 36 (1997) 463-469)に基づく。
【0023】
しかし、上記ツールは最適ではない。これらは、例えばHAQまたは強く/腫れた関節の数の場合に時間を浪費し、主観的評価によって影響を受ける。
【0024】
最近、かかる評価に多くの生化学マーカーを含入することによってRAの様々な局面をさらに評価することまたは生化学マーカーでのかかる評価の基礎を形成することが試みられている。
【0025】
Coste, J., et al.(The Journal of Rheumatology 24(1997) 28-34)によって、RAにおける関節破壊を予測する可能性について20個の臨床および実験パラメーターが調査された。疾患進行に対する統計学的に有意な相関が、鉄、CRP、ESR、およびα1-酸糖タンパク質で見出された。しかし、相関はあまり強くなく、追跡の最初の6ヶ月だけに存在した。
【0026】
Aman, S., et al., Rheumatology 39 (2000) 1009-1013によって、RAにおける疾患進行がマーカーICTP、RFおよびCRPによって予測され得るかどうかが調べられた。彼らは、個々のマーカーについて2.6〜3.9のオッズ比を見出し、最良のマーカー比は9.1のオッズ比を有した。このオッズ比は77%の感度での71%の特異性に変換される。しかし、臨床ルーチンでは、少なくとも80%または好ましくは少なくとも90%の特異性が必要とされるので、71%の特異性はかなり低い。
【0027】
Visser, H., et al., Arthritis and Rheumatism 46 (2002) 357-365によって「永続性(糜爛)関節炎の予測モデル」が提唱された。このモデルは、7つの変数:初見での症状期間、朝の1時間以上のこわばり、3つ以上の関節の関節炎、中足指節関節の対称圧迫痛、リウマチ因子陽性、抗環状シトルリン化ペプチド抗体陽性、および糜爛の存在(手/足)から構成された発展予測モデルから構成される。分かるように、2つの生化学マーカー、RFおよび抗CCPがアルゴリズムの一部を形成した。
【0028】
最近、Meyer, O., et al.(Arthritis Research and Therapy 8/2 (2006) R40)によって、抗CCP自己抗体の連続測定を使用して追跡5年後の放射線学結果を予測することが提案された。彼らは、ベースラインでの抗CCPの測定は疾患進行の十分な予測量ではないことを示した。しかし、ベースラインでの進行の予測における補助はまさしく、実施者が必要とするものである。
【0029】
RFおよび抗CCPはともにRAの診断の確立において重要なツールであるが、これらは将来の疾患の経過の予測を強く補助しないように思われる。多くのマーカーまたは複数組のマーカーが提案されているが、達成されるオッズ比は、これまで十分でなかったか、あるいは臨床のルーチン要件を満たすように非常に多様な生化学および臨床パラメーターに基づいていた。
【0030】
従って、特に生化学パラメーターに基づいてRA患者が疾患進行のリスクがあるか否かの評価を補助する方法のための大きな必要がある。
【0031】
驚くべきことに、2つのマーカーCRPおよびインターロイキン-6は、互いに補い、RAのより重篤な経過を経る患者のリスクの評価における改善をもたらすことが見出された。本発明によって、インビトロでRA患者が疾患進行のリスクがあるかどうかを評価するための方法および試薬が提供されて、RA患者が疾患進行のリスクがあるかどうかを評価する分野に存在する課題を少なくとも部分的に克服することが予測される。
【発明の概要】
【0032】
(発明の概要)
本発明は、液体試料を得る工程、該試料中のC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の両方の濃度および任意に1つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびにCRPおよびインターロイキン-6および任意に1つ以上の他のマーカーについて測定された濃度と疾患進行のリスクとを相関させる工程を含む、関節リウマチ(RA)を有する患者のための疾患進行のリスクの評価を補助する方法に関する。
【0033】
RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価における少なくともCRPおよびインターロイキン-6を含むマーカーパネルの使用も開示される。
【0034】
さらに、本発明は、本発明で開示されるようにCRPおよびインターロイキン-6のそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬ならびに任意に測定を行うための補助試薬を含む関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクの評価を補助する方法を行うためのキットに関する。
【0035】
関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクを評価するのに有用なCRPおよびインターロイキン-6の測定に適切な特異的結合パートナーならびに任意に1つ以上の他のマーカーに適切な特異的結合パートナーを少なくとも含むタンパク質アレイデバイスも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、すべてのRA患者についての進行速度1の累積確率プロットである(x軸=累積確率%;y軸=Sharp Genantスコアの変化)。
【図2】図2は、個々のマーカーまたはマーカー組合せのボックスプロットを示す。パネルIのRA患者を、疾患進行を有するものまたは疾患進行を有しないものに分類した。特異性(図の右側ボックス)は約90%(=y軸上で0.9)に設定した。各マーカーまたはマーカー組合せの感度を中央ボックスに示し、対応する総エラーを左側のボックスプロットの補助によって示す(ボックス=4分の1〜4分の3四分位数(25th〜75th quartile);ひげ線(whisker)=四分位数間領域の1.5倍;ボックス内の−=メジアン;+は、平均の位置を示す;*=ひげ線外の範囲の個々の値)。図2は、CRPのボックスプロットである。感度=35%;総エラー=23%。
【図3】図3は、個々のマーカーまたはマーカー組合せのボックスプロットを示す。パネルIのRA患者を、疾患進行を有するものまたは疾患進行を有しないものに分類した。特異性(図の右側ボックス)は約90%(=y軸上で0.9)に設定した。各マーカーまたはマーカー組合せの感度を中央ボックスに示し、対応する総エラーを左側のボックスプロットの補助によって示す(ボックス=4分の1〜4分の3四分位数(25th〜75th quartile);ひげ線(whisker)=四分位数間領域の1.5倍;ボックス内の−=メジアン;+は、平均の位置を示す;*=ひげ線外の範囲の個々の値)。図3は、IL-6のボックスプロットである。感度=35%;総エラー=25%。
【図4】図4は、個々のマーカーまたはマーカー組合せのボックスプロットを示す。パネルIのRA患者を、疾患進行を有するものまたは疾患進行を有しないものに分類した。特異性(図の右側ボックス)は約90%(=y軸上で0.9)に設定した。各マーカーまたはマーカー組合せの感度を中央ボックスに示し、対応する総エラーを左側のボックスプロットの補助によって示す(ボックス=4分の1〜4分の3四分位数(25th〜75th quartile);ひげ線(whisker)=四分位数間領域の1.5倍;ボックス内の−=メジアン;+は、平均の位置を示す;*=ひげ線外の範囲の個々の値)。図4は、マーカー組合せCRP+IL-6のボックスプロットである。感度=50%;総エラー=20%。
【図5】図5は、個々のマーカーまたはマーカー組合せのボックスプロットを示す。パネルIのRA患者を、疾患進行を有するものまたは疾患進行を有しないものに分類した。特異性(図の右側ボックス)は約90%(=y軸上で0.9)に設定した。各マーカーまたはマーカー組合せの感度を中央ボックスに示し、対応する総エラーを左側のボックスプロットの補助によって示す(ボックス=4分の1〜4分の3四分位数(25th〜75th quartile);ひげ線(whisker)=四分位数間領域の1.5倍;ボックス内の−=メジアン;+は、平均の位置を示す;*=ひげ線外の範囲の個々の値)。図5は、マーカー組合せCRP、IL-6およびpro-MMP3のボックスプロットである。感度=53%;総エラー=20%。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
好ましい第一態様において、本発明は、a)液体試料を得る工程、b)該試料中のC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の両方の濃度および任意に1つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびにc)工程(b)で測定された濃度と疾患進行のリスクとを相関させる工程を含む、関節リウマチ(RA)を有する患者のための疾患進行のリスクの評価を補助する方法に関する。
【0038】
本明細書で使用されるように、以下のそれぞれの用語は、本項のものと関連する意味を有する。
【0039】
冠詞「a」および「an」は、1つのまたは1つより多い(即ち、少なくとも1つの)冠詞の文法的目的語を示すために本明細書で使用される。実施例で、「a marker」は、1つのマーカーまたは1つより多いマーカーを意味する。
【0040】
用語「マーカー」は、本明細書で使用される場合、生化学マーカーおよび臨床マーカーの両方のことをいう。用語マーカーおよびパラメーターは互換的に使用される。
【0041】
「生化学マーカー」または「バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、患者の試験試料を解析するための標的として使用される生体分子のことをいう。かかる分子標的の例は、核酸、タンパク質、またはポリペプチド自身ならびに試料中に存在する抗体である。
【0042】
本発明の意味で「臨床マーカー」は、RA患者の標準化された臨床評価のことをいう。好ましい臨床マーカーは、疾患活性スコアおよび/または放射線スコア等のスコアである。
【0043】
本発明でマーカーとして使用されるタンパク質またはポリペプチドには、該タンパク質の任意のバリアントおよび該タンパク質もしくは該バリアントの断片、特に患者の体液中に存在する免疫学的に検出可能な断片を含むことが企図される。当業者は、細胞によって放出されるまたは細胞外マトリックスに存在するタンパク質が、例えば炎症中に損傷され、かかる断片に分解または切断され得ることを理解する。特定のマーカーは不活性形態で合成され、タンパク質分解によって次に活性化され得る。また、当業者が理解するように、タンパク質またはその断片は、複合体の一部として存在し得る。また、本発明の意味においてかかる複合体はマーカーとして使用され得る。マーカーポリペプチドのバリアントは、同じ遺伝子によってコードされるがPIもしくはMW、またはその両方で異なり(例えば、選択的mRNAまたはプレmRNAプロセッシングの結果として、例えば、選択的スプライシングまたは限定されたタンパク質分解)、また、あるいは代替的に、特異な翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化、および/またはリン酸化)から生じ得る。
【0044】
また、本発明による用語マーカーは、上述に示すように、試料中に存在する抗体に関する。本例、即ちRAにおいて、これらの抗体は自己抗体である。自己抗体は、患者自身の細胞中もしくは上に存在する抗原に結合するまたは患者自身の細胞によって産生される患者試料中の抗体である。
【0045】
用語「試料」は、本明細書で使用される場合、インビトロでの評価の目的で得られた生物試料のことをいう。本発明の方法において、試料または患者試料は好ましくは、任意の体液を含み得る。好ましい試験試料としては、血液、血清、血漿、尿、唾液、および滑液が挙げられる。好ましい試料は、全血、血清、血漿または滑液であり、血漿または血清が最も好ましい。試料は本発明のインビトロ診断方法だけに使用され、残存する試料の物質は患者の体に戻されない。試料は解析が行われると廃棄される。
【0046】
用語疾患進行のリスクの評価を「補助する」は、本発明による方法(他の変数、例えば、臨床パラメーターまたは従属クレームに開示されるパラメーターと共に)によって、医師による関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクの評価が補助されることを示すために使用される。本発明は、a)液体試料を得る工程、b)該試料中のC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の両方の濃度および任意に1つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびにc)工程(b)で測定された濃度と疾患進行のリスクとを相関させる工程を含む、関節リウマチ(RA)を有する患者のための疾患進行のリスクをインビトロで評価する方法に関する。本方法は、医師によって考慮された構成要素の1つであり、それによって医師による疾患進行のリスクの評価の補助が促進される。
【0047】
例えば、用語疾患進行の「リスクを評価する」または「可能性を評価する」は、本発明による方法を実施する場合に結果が相対的リスクまたは進行性RAの相対的可能性を常に示すことを示すために使用される。結果が高いほど、進行性の疾患経過を経るRA患者の相対的リスクが高くなる。
【0048】
本発明の意味において「疾患進行」は、Sharp-Genantスコアによって評価される。1年あたり5を超える進行速度(ベースラインからの1または2年後のSharp-Genantスコアの変化)を有する患者は、疾患進行を有するRA患者として分類される。他の全ての患者は、疾患進行を有さない患者として分類される。
【0049】
「関節リウマチを有する患者」は、米国リウマチ学会の関節リウマチの分類を発展させた改訂基準(Arnett, F.C., et al., Arthritis Rheum. 31 (1988) 315-324)を満たす患者である。これらの基準がここに参照によって含まれる。
【0050】
本発明の発明者は、2つの亜群のRA患者、疾患進行を示すものおよび疾患進行を示さない参照集団またはRAの亜群を定義し、これらの患者コホートに基づく疾患進行の予測のための生化学マーカーの能力を調べた。
【0051】
驚くべきことに、CRPおよびインターロイキン-6のマーカー組み合わせは、臨床に必要な高い特異性でRA患者のための疾患経過の予測の感度を改善するための鍵であることが発見および確立された。
【0052】
本発明による方法において、少なくともバイオマーカーCRPおよびIL-6それぞれの濃度が測定され、このマーカー組み合わせはRAと診断された患者のための疾患進行のリスクと相関させる。
【0053】
当業者が理解するように、マーカーレベルと特定の可能性またはリスクとを相関させる工程が種々の方法で実施および達成され得る。好ましくは、マーカーCRPおよびIL-6の測定値が数学的に合わされて、合わされた値と基礎にある診断問題とを相関させる。マーカー値は当該技術分野の数学的方法の任意の適切な技術水準によって合わせられ得る。
【0054】
好ましくは、マーカーの組み合わせに適用される数学的アルゴリズムはロジスティック関数である。かかる数学的アルゴリズムまたはかかるロジスティック関数を応用する結果は、好ましくは1つの値である。この値は、RA疾患進行のリスクと容易に相関させ得る。好ましい方法において、かかるロジスティック関数は、a)RA患者を、疾患進行している患者の群および疾患進行していない患者の群に分類すること、b)単一変量解析によってこれらの群で有意に異なるマーカーを同定すること、c)RA疾患進行の評価に有用なマーカーの独立した識別値を評価するためのロジスティック回帰解析ならびにd)独立した識別値を合わせるためにロジスティック関数を構築することによって得られる。
【0055】
好ましい態様において、CRPおよびIL-6の値を合わせるために使用されるロジスティック関数は、a)RA患者を、それぞれ疾患進行している患者の群および疾患進行していない患者の群に分類すること、b)CRPおよびインターロイキン-6の値を確立すること、c)ロジスティック回帰解析を行うことならびにd)CRPおよびインターロイキン-6のマーカー値を合わせるためにロジスティック関数を構築することによって得られる。
【0056】
さらに好ましい態様において、CRPおよびIL-6の測定値と1つ以上の他のマーカーの値とを合わせるためのロジスティック関数は、a)RA患者を、疾患進行している患者の群および疾患進行していない患者の群に分類すること、b)単変量解析によってこれらの群を有意に区別する1つ以上のさらなるマーカーを同定すること、c)該マーカーがRA疾患進行の評価におけるCRPおよびインターロイキン-6の組み合わせに対してさらなる識別値を有するかどうかを評価するためにロジスティック回帰解析を行うこと、ならびにd)CRP、インターロイキン-6および1つ以上のさらなるマーカーの測定値を合わせるためにロジスティック関数を構築することによって得られる。
【0057】
マーカー組み合わせと疾患とを相関させるためのロジスティック関数は、好ましくは統計学的方法、例えば識別解析(DA)(即ち、線形-、4分円-、正規-DA)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k-最近接分類)、PLS(部分最小二乗)、ツリーベース法(即ち、論理回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング法)、一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)、一次成分ベース法(即ち、SIMCA)、一般化付加モデル、ファジー論理ベース法、ニューラルネットワークおよび遺伝的アルゴリズムベース法を適用することによって開発および得られたアルゴリズムを使用する。当業者は本発明のマーカー組み合わせを評価してそれによって適切な数学的アルゴリズムを得るための適切な統計学的方法の選択に問題はない。好ましくは、本発明のマーカー組み合わせとRAの疾患進行のリスクとの相関に使用される数学的アルゴリズムを得るために使用される統計学的方法は、DA(即ち、線形-、4分円-、正規-識別解析)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k-最近接分類)、PLS(部分最小二乗)、ツリーベース法(即ち、論理回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、または一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計学的方法に関する詳細は、以下の文献:Ruczinski, I., et al., J. of Computational and Graphical Statistics 12 (2003) 475-511; Friedman, J. H., J. of the American Statistical Association 84(1989) 165-175; Hastie, T., et al., The Elements of Statistical Learning, Springer Verlag (2001); Breiman, L., et al., Classification and regression trees, California, Wadsworth (1984); Breiman, L., Random Forests, Machine Learning 45 (2001) 5-32; Pepe, M.S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003);およびDuda, R.O., et al., Pattern Classification, Wiley Interscience, 第2版(2001)に見られる。
【0058】
本発明の好ましい態様は、基礎となる生物学的マーカーの組み合わせの最適化多変量カットオフを使用することおよび状態Aと状態B、例えばRA疾患進行と非RA疾患進行をそれぞれ区別することである。この型の解析において、マーカーはもはや独立せず、マーカーパネルを形成する。CRPおよびIL-6の測定値を合わせることによって、RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価における診断精度を有意に改善されることが確立され得た。
【0059】
単変量解析において、CRP、IL-6およびいくつかの他のマーカーが約0.7〜約0.8の曲線下面積(AUC)を有する。CRPおよびIL-6の両方は炎症マーカーであり、これらは互いに非常に相関する。従って、CRPおよびIL-6が合わされ得、個々のマーカーと同じレベルの特異性が感度における大きな改善を示すと分かることは全く予測されない。
【0060】
AUCは、診断手順の性能または精度の指標である。診断方法の精度は受信者動作特性(ROC)によって最もよく示される(特にZweig, M.H.,およびCampbell, G., Clin. Chem. 39(1993) 561-577を参照)。ROCグラフは観察された全範囲のデータに対して判定閾値を連続的に変化することで得られる感度/特異性の組の全てのプロットである。ROCプロット下の面積はAUCと呼ばれる。
【0061】
実験室試験の臨床結果は、診断精度、または被験体を臨床的に関連する亜群に正確に分類する能力に依存する。診断精度によって、調査される被験体の2つの異なる状態を正確に区別する試験の能力が測定される。かかる状態は、例えば健康および疾患、または疾患進行対非疾患進行である。
【0062】
それぞれの場合において、ROCプロットは、判定閾値の完全範囲について感度対1-特異性をプロットすることによって2つの分布間での重複を示す。y軸は感度、即ち真陽性部分[(真陽性試験結果の数)/(真陽性の数+偽陰性試験結果の数)として定義される]である。また、これは、疾患または状態の存在の陽性のことをいう。これは罹患亜群から単に計算される。x軸は偽陽性部分、即ち1-特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)として定義される]である。これは特異性の指標であり、非罹患亜群から全体的に計算される。2つの異なる亜群の試験結果を用いることによって、真陽性部分および偽陽性部分が全体的に別々に計算されるので、ROCプロットは試料における疾患の罹患とは独立している。ROCプロット上の各点は、特定の判定閾値に対応する感度/1-特異性を表す。完全な区別を有する試験(2つの分布結果における重複はない)は、真陽性部分が1.0、即ち100%(完全感度)であり、偽陽性部分が0(完全特異性)である場合に左上隅を通過するROCプロットを有する。区別のない(2つの群の同じ分布結果)試験の理論的プロットは、左下隅から右上隅の45°の対角線である。ほとんどのプロットはこれらの2つの両端に入る。(ROCプロットが45°対角線より下に完全に入る場合、これは「陽性」の基準を「より大きい」から「より小さい」またはその逆に変換することによって容易に直される。)定性的に、プロットが左上隅に近づくほど、試験の全体精度は高くなる。
【0063】
実験室試験の診断精度を定量するための簡便な目標は1つの数でその結果を表すことである。最も一般的な世界的基準はROCプロット下面積(AUC)である。約束ごとで、この面積は常に0.5以上である(0.5以上でない場合、そうなるように判定規則を逆転し得る)。値は1.0(2つの群の試験値の完全な分離)〜0.5(2つの群の試験値間での分布差が明白でない)である。面積は、対角線に最も近い点または90%特異性での感度のようなプロットの特定の部分だけではなく、プロット全体にも依存する。これは、ROCプロットが完全なプロット(面積=1.0)にどれだけ近いかを定量的に記述する表現である。
【0064】
全体的なアッセイ感度は本明細書に開示される方法を行うために必要な特異性に依存する。特定の好ましい設定において、75%の特異性が十分であり得、統計学的方法および得られたアルゴリズムがこの特異性要件に基づき得る。さらに好ましい態様において、RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価に使用される方法は、80%、85%、または特に好ましくは90%または95%の特異性に基づく。実施例から明らかなように、90%の特異性でCRPおよびIL-6を使用するマーカー組み合わせは、約50%の良好な感度を有する。これは約20%の全体的エラーに匹敵し、個々の生化学マーカーに単に基づく当該技術分野アプローチの技術水準で達成される全体的エラーよりも良好である。
【0065】
実施例におけるCRPおよびIL-6に示されるレベルが、実施例に示されるアッセイ手順で測定および確立された。異なるアッセイが異なるカットオフ値をもたらし得ることが理解される必要がある。当業者は本発明で概略される手順に従うかかる供給依存カットオフ値の確立に問題はない。
【0066】
インターロイキン-6(IL-6)は、多くの生物学的活性を有する21kDaの分泌タンパク質であり、造血に関わるものおよび先天性免疫応答の活性化に関わるものに分けられ得る。IL-6は急性期反応物であり、接着分子を含む様々なタンパク質の合成を刺激する。主な機能は、肝臓タンパク質の急性期産生を媒介することであり、その合成はサイトカインIL-1およびTNF-αによって誘導される。IL-6は通常、マクロファージおよびTリンパ球によって産生される。IL-6の正常血清濃度は<5pg/mlである。
【0067】
CRPおよびIL-6のようなバイオマーカーを検出する好ましい手段は、特異的結合アッセイ、特に免疫アッセイである。免疫アッセイは、当業者に周知である。かかるアッセイを行うための方法および実施適用および手順は関連する教科書にまとめられている。関連する教科書の例は、Tijssen, P., In: Practice and theory of enzyme immunoassays, eds. R.H. Burdon and v.P.H. Knippenberg, Elsevier, Amsterdam (1990), pp.221-278およびMethods in Enzymology、Colowick, S.P., and Caplan, N.O.,編 Academic Press, 免疫学的検出方法を扱う様々な巻、特に70巻、73巻、74巻、84巻、92巻および121巻である。
【0068】
例えば、IL-6は競合的型またはサンドイッチ型免疫アッセイによって測定され得る。IL-6は、好ましくはサンドイッチ免疫アッセイで測定され、本質的に直接的もしくは間接的に結合するまたは固相に結合し得るIL-6に特異的に結合する抗体に基づき、IL-6に特異的に結合する抗体は検出可能に標識され、試料中で抗IL-6抗体のIL-6への結合を可能にする条件下でこれらの試薬をインキュベートし、未結合の検出可能に標識された抗体を分離し、IL-6を介して結合した標識抗体の量を測定し、ならびに試料中の結合した標識抗体の量とIL-6の濃度とを相関させる。
【0069】
C反応性タンパク質(CRP)は、宿主防御に関わる21kDaサブユニットを有するホモ5量体Ca2+結合急性期タンパク質である。IL-1は肝臓洞様中のKupffer細胞によるIL-6の合成を誘発し得るために、CRP合成はIL-6によって誘導され、IL-1によって間接的に誘導される。CRPの正常血漿濃度は健常集団の90%で<3μg/ml(30nM)であり、健常個体の99%で<10μg/ml(100nM)である。血漿CRP濃度は、例えば、均一なアッセイ形式またはELISAによって測定され得る。CRPは全身性炎症のマーカーとみなされる。
【0070】
RAを有する患者のための疾患進行のリスク評価をさらに混乱および複雑にする要因は、往診時の患者が種々の段階の疾患発症および様々な治療養生中であり得るという事実である。本発明の発明者は、見出されたマーカー組み合わせが、抗リウマチ薬物でまだ治療されていない患者および疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)で既に治療中の患者の両方を予測することを示すことができた。特に、後者の発見は非常に相関し、本発明に開示される方法はDMARDの治療に応答しないまたは十分に応答しない患者の同定を補助し得ることを示す。好ましい態様において、本発明による方法は、疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)の群から選択される抗リウマチ薬物で治療中のRA患者から得られた試料を用いて行う。また好ましくは、本明細書に開示される方法は、抗リウマチ薬物で治療中でないRA患者から得られた試料を用いて行う。
【0071】
マーカー組み合わせCRPおよびIL-6の同定について、RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価に有用な鍵となるマーカー組み合わせが同定されていなかったと考えられる。発明者によってさらに示されたように、RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価方法は、2つの鍵となるマーカーCRPおよびIL-6の測定値とさらなるパラメーターとを合わせることによってさらに改善され得る。さらなる好ましい態様において、本発明は、a)液体試料を得る工程、b)試料中のC反応性タンパク質(CRP)とインターロイキン-6の両方の濃度および1つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびにc)工程(b)で測定された濃度と疾患進行のリスクとを相関させる工程を含み、任意に1つ以上の他のマーカーが骨または軟骨マーカー、滑液マーカー、他の炎症マーカー、遺伝的マーカーおよび放射線スコアからなる群より選択される方法に関する。
【0072】
好ましい態様において、本発明による方法において使用される1つ以上の他のマーカーは骨または軟骨マーカーであり、好ましくは前記骨または軟骨マーカーは、PINP、β-CrossLaps、CartiLaps、オステオカルシンおよびICTPからなる群より選択され、また、好ましい1つ以上の骨または軟骨マーカーはICTPまたは/およびCartiLapsである。
【0073】
最も膨隆する(prominent)関節組織は、骨、軟骨および滑膜である。関節リウマチは破壊性疾患であるため、これらの組織は最も影響を受ける。これらは、おそらく、RAの分野における潜在的な生物学的マーカーの供給源である。原則的には、これらのマーカーは、それぞれの組織の破壊だけでなく、調節されていない、および/または有効でない修復プロセスにも由来し得る。当業者には、骨、軟骨または滑膜の代謝のマーカーが、これらの組織の合成または破壊のいずれかに由来し得ることが理解されよう。骨、軟骨および/または滑膜代謝の種々のマーカーは、2種類の異なるタンパク質の群に表(delineate)され得る。これらは、多数の型のコラーゲンまたは非コラーゲン性タンパク質のいずれかに由来する。非コラーゲン性タンパク質は、多くの場合、細胞外マトリックスの形成に関与する。これらのマーカーのいくつかは、3つのすべての組織において種々の量で見られ得る。
【0074】
骨および/または軟骨マーカーには、骨および/または軟骨コラーゲン分解マーカーと、骨および/または軟骨コラーゲン形成マーカーの両方が含まれる。コラーゲンに由来する好ましい骨または軟骨マーカーは、以下のマーカーなどである。
【0075】
1.ピリジノリン(=PYD)、デオキシ-ピリジノリン(=DPD)およびGlc-Gal-PYD:ピリジノリン(=PYD)は、コラーゲン三重らせんの鎖を架橋することによりコラーゲンを安定化する。PYDの化学構造は非常に安定であり、血清および尿中にコラーゲン分解の最終生成物として見られ得る(Knott, L.および Bailey, A.J., Bone 22 (1998) 181-187)。これは、関節炎と関連している(Kaufmann, J., et al., Rheumatology 42 (2003) 314-320)。PYDは、軟骨から放出され、骨からはある程度しか放出されないため関節破壊の軟骨関与をモニターするが、その近縁種であるデオキシ-ピリジノリン(=DPD)はほとんどが骨に由来する。3種類のマーカーはすべて関節炎と関連している(Kaufmann, 上掲)。グリコシル化形態Glc-Gal-PYDは、ほとんどが滑膜組織に見られる(Gineyts, E., et al., Rheumatology 40 (2001) 315-323)。
【0076】
2.架橋テロペプチド:CTX-I、CTX-II、NTX-IおよびLQ-エピトープは、それぞれ、コラーゲンI型またはII型のCまたはN末端のいずれかに由来する架橋テロペプチドであり、そのうち、β-CTX-Iはまた、β-CrossLaps(登録商標)として知られている(Bonde, M., et al., Clin. Chem. 40 (1994) 2022-2025)。
【0077】
3.I型コラーゲンカルボキシ末端テロペプチド(=ICTP)は、最初にシアノブロミド切断によってI型コラーゲンから誘導されたI型コラーゲンの断片およびマーカーをいう(US 5,538,853)。
【0078】
4.コラーゲン由来の線状ペプチド:Cartilaps(登録商標)と呼ばれるアッセイにより、コラーゲンII型のC-末端領域に由来する線状ペプチドを測定する(US 6,372,442)。
【0079】
5.修飾アミノ酸:コラーゲンは、コラーゲン分解のマーカーとして使用され得る、ヒドロキシプロリンおよびガラクトシルヒドロキシリシンなどの修飾アミノ酸を含む(Al-Dehaimi, A.W., et al., Clin. Chem. 45 (1999) 676-681)。
【0080】
6.コラーゲンネオエピトープ:Col2-3/4およびCIINは、コラゲナーゼによるコラーゲンII型の初期切断により生成されるネオエピトープである(Billinghurst, R.C., et al., J. Clin. Invest. 99 (1997) 1534-1545)。
【0081】
7.骨形成を反映するとみなされるコラーゲンマーカー:I型コラーゲンのN-末端およびC-末端プロペプチド(=PINPおよびPICP)は、それぞれ、合成中/合成後の前駆体ポリペプチド(プロコラーゲン)から切断(clip)され、骨形成のマーカーとみなされている。PIICPは、対応するコラーゲンII型由来プロペプチドであるが、PIIINPはコラーゲンIIIに由来する。
【0082】
好ましくは、骨または軟骨マーカーはまた、非コラーゲン性マーカー、例えば:CS846、これは、アグレカン合成中に生成されるコンドロイチン(chondriotin)硫酸エピトープである;軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質(=COMP)、これは、軟骨において架橋機能を有する(Saxne, T.および Heinegard, D., Br. J. Rheumatol. 31 (1992) 583-591);軟骨中間層タンパク質(cartilage intermediate layer protein)(=CILP)、これは、軟骨のマトリックスタンパク質である(Lorenzo, P., et al., J. Biol. Chem. 273 (1998) 23463-23468);軟骨マトリックスタンパク質1〜3(マトリリンとしても知られる);コンドロモジュリン(chondromodulin)、これは、軟骨においてシグナル伝達分子として機能する(Suzuki, F., Connect. Tissue Res. 35 (1996) 303-307);軟骨由来レチノイン酸感受性タンパク質(=CD-RAP)またはMIA、これは、軟骨細胞モジュレーションにおける機能がまだ明確でない(Mueller-Ladner, U., et al., Rheumatology 38 (1999) 148-154);オステオカルシン、これは、骨芽細胞により合成され、骨の主要な非コラーゲンマトリックスタンパク質に属し、骨ターンオーバーをモニターするために使用される(Gundberg, C. M., et al., J. Clin. Ligand Assay 21 (1998) 128-138);および骨シアロタンパク質、これは、骨の主な非コラーゲンマトリックスタンパク質であり、例えば、骨シアロタンパク質II(現在、骨シアロタンパク質として知られている)は、例えば、骨ターンオーバーのマーカーとして評価されている(Saxne, T., et al., Arthritis Rheum. 38 (1995) 82-90)などであり得る。
【0083】
好ましい態様において、本発明による方法において使用される1つ以上の他のマーカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ1(=プロMMP-1)、マトリックスメタロプロテアーゼ3(=プロMMP 3)、ヒアルロン酸からなる群より選択される滑液マーカーであり、好ましくは1つ以上の他の滑液マーカーは、ヒアルロン酸またはおよびプロMMP 3である。
【0084】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(=MMP)のファミリーは、細胞外マトリックスのほとんどすべての成分を分解する。したがって、MMPは、種々の型の癌だけでなく、RAにおける炎症性プロセスにも関連している。MMP-1およびMMP-3は、IL-1またはTNF-αなどの炎症性促進サイトカインによって刺激されると、線維芽細胞、骨芽細胞および内皮細胞によって産生される。一般的に、MMPは、血液循環中に不活性な前形態(pro-form)として見られ、即ちプロMMP-1およびプロMMP-3は、それぞれ、かかる不活性な前形態として見られる。プロMMP-1およびプロMMP-3は、RA患者の滑液中で検出され、そのレベルは、抗TNF-α療法に対して応答性がある。RAを有する患者の疾患進行のリスクを評価するためのマーカーパネルに使用するのに最も好ましいメタロプロテアーゼはプロMMP 3である。
【0085】
前記メタロプロテイナーゼの代わりに、それらの対応するインヒビターを使用することも可能であり、このインヒビターは、集合的にマトリックスメタロプロテイナーゼの組織インヒビター(=TIMP)と呼ばれ、例えば、MMP-1およびMMP-3は、TIMP-1(MMPと1:1化学量論的複合体を形成する29.5 kDのシアロ糖タンパク質)によりインビボで不活化される。TIMP-1およびTIMP-2と軟骨の破壊との関係は、RAにおいて詳しく調べられた(Ishiguro, N., et al., Arthritis Rheum. 44 (2001) 2503-2511)。
【0086】
グリコサミノグリカンヒアルロン酸は、関節の機能に必須の巨大分子の1つである。これは、線維芽細胞および他の特定の結合組織細胞によって合成される。ヒアルロン酸は、細胞外マトリックスの形成および細胞と細胞との接触に関与する。滑液中に高濃度で見られ、ここでは、水分の保持を担当し、それにより関節の潤滑に寄与する。関節リウマチにおいて、ヒアルロン酸の合成は、炎症促進メディエーターIL-1およびTNF-αによって刺激され、血清/血漿レベルの増大がもたらされる(Sawai, T.および Uzuki, M., Connective Tissue 33 (2001) 253-259)。
【0087】
好ましい態様において、本発明による方法において使用される1つ以上の他のマーカーは、HLA-DR4およびHLA-DRB1対立遺伝子からなる群より選択される遺伝的マーカーであり、好ましくは1つ以上の他の遺伝的マーカーはHLA-DRB1*01または/およびHLA-DRB1*04対立遺伝子である(Goronzy, J.J., et al., Arthritis and Rheumatism 50 (2004)43-54)。
【0088】
好ましい態様において、本発明による方法において使用される1つ以上の他のマーカーは放射線スコアであり、好ましくは前記放射線スコアは、Sharpスコア、Sharp-Genantスコア、van der Heijde-Sharpスコア、Ratingenスコア、Larsenスコア、RAUスコアおよびHerbornスコアからなる群より選択され、また、好ましい1つ以上の放射線スコアはSharp-Genantスコアまたは/およびLarsenスコアである。
【0089】
「Sharpスコア」は、最初に1971年に導入され(Sharp, J.T., et al., Arthritis and Rheumatism 14 (1971)706-720)、1985年にさらに解明された(Sharp, J.T., et al., Arthritis and Rheumatism 28 (1985)1326-1335)。
【0090】
「Sharp-Genantスコア」は、Sharpスコアの変形であり、1983年にGenantによって提案された(Genant, H.K., Am. J. Med. 75 (1983)35-47)。
【0091】
「van der Heijde-Sharpスコア」は、Sharpスコアの変形であり、1989年にvan der Heijdeによって提案された(van der Heijde, D.M.F.M., Lancet 1 (1989)1036-1038)。
【0092】
「Larsenスコア」は、最初に1977年に紹介された(Larsen, A., et al., Acta Radiol. Diagn. 18 (1977)481-491)。「RAUスコア」は「Ratingenスコア」と呼ばれることもあり、Larsenスコアの変形である(Rau, R. and Wassenberg, S., Z. Rheumatol. 62 (2003)555-565)。
【0093】
好ましい態様において、本発明による方法において使用される1つ以上の他のマーカーは、炎症のさらなるマーカーであり、好ましくは前記炎症のさらなるマーカーは、S100-タンパク質、赤血球沈降速度(ESR)、SAAおよびE-セレクチンからなる群より選択される炎症マーカーであり、好ましくはSAAまたは/およびE-セレクチンである。
【0094】
用語「他の炎症のマーカー」または「炎症のさらなるマーカー」は、これらのマーカーがCRPでもIL-6でもないことを示すために使用される。
【0095】
血清アミロイドA(=SAA)は、11.7kDaの低分子量の急性期タンパク質である。これは主にIL-1、IL-6またはTNF-αの刺激に応答して肝臓により合成され、T細胞依存型免疫反応の調節に関与する。急性の事象が起こるとSAAの濃度は、1000倍にまで上昇し、1ミリグラム/ミリリットルに達する。これは嚢胞性線維症、腎移植片回復、外傷または感染症と同程度に多様な疾患の炎症をモニターするために使用される。関節リウマチにおいて、ある場合にはCRPの代用品として用いられるが、SAAは依然広くは受け入れられていない。
【0096】
S100タンパク質は、常に増加しているCa2+結合性タンパク質のファミリーを構成し、これは、現在、20より多い構成要素を含む。S100タンパク質の生理学的に関連性のある構造はホモ二量体であるが、一部はまた、互いにヘテロ二量体を形成し得る(例えば、S100A8およびS100A9)。細胞内機能は、タンパク質リン酸化の調節、酵素活性の調節または細胞骨格の動力学の調節から、細胞増殖および分化における関与に及ぶ範囲にわたる。また、一部のS100タンパク質は細胞から放出されるので、細胞外機能、例えば、ニューロン生存、星状細胞増殖、アポトーシスの誘導および炎症プロセスの調節もまた記述されている。S100A8、S100A9、ヘテロ二量体S100A8/A9およびS100A12は炎症において見られるが、S100A8は慢性炎症に応答するのに対し、S100A9、S100A8/A9およびS100A12は急性炎症において増加する。S100A8、S100A9、S100A8/A9およびS100A12は、炎症成分を伴う異なる疾患、例えば、ある種の癌、同種腎移植片拒絶、大腸炎と関連しており、RAに対しては最も重要に関連している(Burmeister, G. および Gallacchi, G., Inflammopharmacology 3 (1995) 221-230;Foell, D., et al., Rheumathology 42 (2003) 1383-1389)。本発明によるRAの疾患進行の評価のためのマーカーパネルにおける使用のために最も好ましいS100マーカーは、S100A8、S100A9、S100A8/A9ヘテロ二量体およびS100A12である。
【0097】
sE-セレクチン(可溶性内皮白血球接着分子-1、ELAM-1)は、内皮細胞上でのみ、および炎症性のサイトカイン(IL-1β、TNF-α)または内毒素による活性化後でのみ発現される115kDaのI型膜貫通糖タンパク質である。細胞表面E-セレクチンは、炎症部位での白血球の遊出における必須工程である内皮への白血球の回転結合(rolling attachment)のメディエーターであり、それにより、局所炎症応答において重要な役割を果たす。可溶性E-セレクチンは、健常個体の血液中に見られ、おそらく表面発現分子のタンパク質分解性切断により生じる。血清中のsE-セレクチンのレベル上昇は、さまざまな病状で報告されている(Gearing, A.J.H., et. al., Annals N.Y. Acad. Sci. 667 (1992)324-331)。
【0098】
好ましくは、RAにおける疾患進行のリスクを評価するためにCRPおよびIL-6と組合せて使用される1つ以上の他のマーカーは、生化学的マーカーまたはバイオマーカーである。好ましくは、バイオマーカーは、ポリペプチドまたは自己抗体である。
【0099】
実施例のセクションから、CRPおよびIL-6を含むマーカーパネルにより、RAを有する患者について疾患進行のリスクの評価が補助されることが明らかである。さらなる態様において、本発明は、関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクの評価における少なくともCRPおよびインターロイキン-6を含むマーカーパネルの使用に関する。
【0100】
CRPおよびIL-6と一緒に使用される1つ以上のさらなるマーカーは、好ましくはマーカーパネルの一部、すなわち、RAを有する患者についての疾患進行のリスクの任意の評価をさらに定義するのに適切な一連のマーカーである。RA進行の評価のためのかかるマーカーパネルにおけるマーカーの総数は、好ましくは20未満のマーカー、より好ましくは15未満のマーカーであり、また、10未満のマーカーが好ましく、8以下のマーカーがさらにより好ましい。全部で3、4、5または6つのマーカーを含むRAの疾患進行の評価のためのマーカーパネルが好ましい。
【0101】
さらなる好ましい態様は、RAを有する患者のための疾患進行のリスクの評価におけるマーカーパネルの使用であって、該パネルが、CRP、インターロイキン-6ならびにCartiLaps、ヒアルロン酸、E-セレクチンおよびICTPからなる群より選択される少なくとも1つのさらなるマーカーを含む使用に関する。
【0102】
好ましい態様において、RAを有する患者の疾患進行のリスクの評価を補助するマーカーパネルは、CRP、インターロイキン-6およびヒアルロン酸を含む。
【0103】
好ましい態様において、RAを有する患者の疾患進行のリスクの評価を補助するマーカーパネルは、CRP、インターロイキン-6およびE-セレクチンを含む。
【0104】
好ましい態様において、RAを有する患者の疾患進行のリスクの評価を補助するマーカーパネルは、CRP、インターロイキン-6およびICTPを含む。
【0105】
好ましい態様において、RAを有する患者の疾患進行のリスクの評価を補助するマーカーパネルは、CRP、インターロイキン-6およびCartiLapsを含む。
【0106】
さらなる好ましい態様において、少なくともCRPおよびインターロイキン-6の測定を行なうために必要とされる試薬は、キットとして提供される。したがって、本発明はまた、CRPおよびインターロイキン-6のそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬ならびに任意に測定を行なうための補助試薬を含むキットに関する。
【0107】
本発明の好ましい態様において、2つのバイオマーカータンパク質CRPおよびIL-6ならびに任意に1つ以上の他のバイオマーカーに特異的に結合する試薬を、例えば、ポリスチレン表面などの固相支持体に固定する。本発明の好ましい態様は、RAの疾患進行を評価するために使用されるマーカーパネルの同時結合および定量のためのタンパク質マイクロアレイまたはタンパク質アレイデバイスを提供する。タンパク質アレイデバイスは、支持体材料上の規定のスポット位置に結合された分子(捕捉剤)からなる。好ましくは、ビオチン化特異的結合試薬は、ストレプトアビジンがコーティングされた固相上に非常に小さいスポットとして結合される。次いで、アレイを試料に曝露する。抗体などの捕捉剤は、生物学的試料由来の目的のタンパク質に結合し得る。次いで、個々のスポットへの特異的検体タンパク質の結合が、各スポットによって生成されるシグナルを定量することによりモニターされ得る。
【0108】
またさらに好ましい態様において、本発明は、関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクを評価するのに有用なCRPおよびインターロイキン-6の測定に適切な特異的結合パートナーならびに任意に1つ以上の他のマーカーに適切な特異的結合パートナーを少なくとも含むタンパク質アレイデバイスに関する。
【0109】
以下の実施例および図面は、真の範囲が特許請求の範囲に示された本発明の理解を補助するために提供される。本発明の精神から逸脱することなく、示された手順において修正が行なわれ得ることを理解されたい。
【実施例】
【0110】
実施例1 試験集団
最長疾患持続期間が15年間の237名の非常に特徴的なRA患者由来の試料を欧州の5つのセンターで収集し、1年または2年間追跡した。すべての個体は、米国リウマチ学会(American Rheumatism Association)(Arnett, F.C., et al., Arthritis Rheum. 31 (1988)315-324)の関節リウマチの分類の1987年改定基準に従ってRA患者と診断された。
【0111】
すべての患者は、充分な症例報告用紙(=CRF)に記録された。CRFは、健康評価の質問票、SF36質問票、腫脹および圧痛関節数、実験パラメーター、関連する手術、薬物治療、併発病状および併発病状のための薬物治療の臨床歴を含んだ。標準化手順に従いベースライン、1年後および2年後の手および足のX線を撮影した。RA患者から得たベースライン試料を異なる検体測定のみに使用し、対応する結果を単変量および多変量解析に使用した。
【0112】
試験集団の個体群統計学データを表1に示す。

【0113】
実施例2
Sharp-Genantスコアの測定
各患者の手および足のX線を、ベースライン、ならびに1年後および2年後に撮影した。従来のフィルムX線写真をSynarc(Synarc GmbH, Hamburg, Germany)に送付し、そこで、Lumiscan 200高解像度デジタル化装置を用いてハードコピーフィルムをデジタル化した。品質チェック後、熟練放射線科医が各画像を読み取り、Genant変形Sharpスコアリングに従ってスコアリングした。
【0114】
X線写真の形態学的スコアリング
手および足の骨びらんおよび関節腔狭小化を、下記のGenant変形Sharp格付けスキームに従ってスコアリングした。この格付けスキームは、Genant変形Sharpスコアリング技術に基づく。
【0115】
びらんスコア:各手首および手の14の部位(4つの近位指節間関節および5つの中手指節関節、親指の手根中手骨間関節、舟状骨、遠位橈骨および遠位尺骨)ならびに各足の6つの関節(5つの中足指節関節および足第I指(すなわち、足の親指)の指節間関節)を、びらんの大きさおよび関与する骨の面積(両側の関節)に基づき、0から3.5までの8点スケールを用いてスコアリングする。
【0116】
0 (正常:びらんなし)
0.5 (皮質連続性のわずかな喪失または骨びらんのあいまいな所見)
1.0 (軽度:通常無漿膜野の一方または両方の関節の骨の明確だが小さなびらん、関節表面の<25%が関与)
1.5 (軽度から中等度:一方または両方の関節の骨の<25%の関節の骨が関与する小〜中びらん)
2.0 (中等度:両方の関節の骨の関節表面のほぼ26%〜50%が関与する中〜大びらん)
2.5 (中等度から重度:関節表面のほぼ51%〜75%のびらん)
3.0 (重度:関節表面のほぼ76%〜90%のびらん)
3.5 (非常に重度:関節表面の100%のびらん(関節表面の全崩壊)
【0117】
関節腔狭小化(JSN)スコア。各手首および手の13の部位(手第II〜V指の近位指節間関節、親指の指節間関節および5つの中手指節関節、単一の単位として足第III〜V指の手根中手骨間関節、有頭骨周辺部(pericapitate)(舟状骨-有頭骨および月状骨-有頭骨を合わせた)腔ならびに橈骨手根骨関節)ならびに各足の6つの部位(5つの中足指節関節および足第I指(すなわち、足の親指)の指節間関節)を、0〜4の9点スケールを用いてスコアリングする。
【0118】
0 (正常)
0.5 (わずかな関節腔狭小化またはあいまいな所見)
1.0 (軽度の関節腔狭小化(限局性または微小))
1.5 (軽度から中等度の関節腔狭小化)
2.0 (中等度の関節腔狭小化)
2.5 (中等度から重度の関節腔狭小化)
3.0 (重度の関節腔狭小化)
3.5 (強直に近い重度の関節腔狭小化)
4.0 (明確な強直)
【0119】
手/手首:個々の関節スコアを個別に合計し、手/手首の総びらんスコアおよび総JSNスコアを得る。手/手首の最大総びらんスコアは(14×3.5最大/関節)×2=98である。最大総JSNスコアは(13×4最大/関節)×2=104である。びらんおよび関節腔狭小化に対して同量を提供するため、各合計を0〜100のスケールに対して標準化する。両手に関してEスコアがびらんスコアの合計であり、JスコアがJSNスコアの合計である場合、標準化スコアは以下のようにして計算される。
標準化Eスコア=(Eスコア/98)×100、および
標準化Jスコア=(Jスコア/104)×100
【0120】
足:手/手首に関して、個々の関節スコアを個別に合計し、足の総びらんスコアおよび総JSNスコアを得る。足の最大総びらんスコアは(6×3.5最大/関節)×2=42である。最大総JSNスコアは(6×4最大/関節)×2=48である。
【0121】
びらんおよび関節腔狭小化に対して同量を提供するため、各合計を0〜45のスケールに対して標準化する。両足に関してEスコアがびらんスコアの合計であり、JスコアがJSNスコアの合計である場合、標準化スコアは以下のようにして計算される。
標準化Eスコア=(Eスコア/42)×45、および
標準化(ormalized)Jスコア=(Jスコア/48)×45
【0122】
組合せ:手/手首および足の総スコアは、それぞれの個々の総スコアの合計である。したがって、得られ得る最大スコアは290である。
【0123】
びらんスコア=標準化Eスコア手/手首+標準化Eスコア足、に加えて
JSNスコア=標準化Jスコア手/手首+標準化Jスコア足、に加えて
総スコア=びらんスコア+JSNスコア
【0124】
総スコアの変化は、
びらん変化=(追跡びらんスコア)-(初期びらんスコア)、に加えて
JSN変化=(追跡JSNスコア)-(初期JSNスコア)、に加えて
総変化=(追跡総スコア)-(初期総スコア)
として計算される。
【0125】
実施例3
疾患進行を有するRA患者および疾患進行のないRA患者の分類
疾患進行の分類に関する文献には、いくつかの可能性が論じられている。治療応答を評価するための医薬試験において最も使用されているACRおよびEULAR基準の他に、HAQスコアおよび放射線スコアもまた疾患進行の分類に使用され得る。最も好ましい方法論は、1年後の任意の放射線スコアの変化の使用である。本発明者らは、総Sharp-Genantスコアを使用し、ベースライン値からの1年後または2年後のこのスコアの個々の変化(=進行速度)を測定することに決めた。
【0126】
進行速度(1)=ベースラインから1年目までのSharp-Genantスコア(SGS)の変化
進行速度(2)=ベースラインから2年目までのSharp-Genantスコア(SGS)の変化
【0127】
次に重要な工程は、患者を、進行したRAおよび進行のないRAに分類することができる進行速度のカットオフ値を規定することであった。したがって、すべての患者から進行速度1または2の累積確率プロットを作製した(図1参照)(van der Heijde et al., Arthritis Rheum. 52 (2005)49-60)。プロットの第1の傾き上に直線を引くと、交点は、「5」の進行速度(1)に決定された。進行速度(2)の確率プロットを用いて同じ結果が得られた。RA患者を進行した患者または進行のない患者に分類するためのカットオフ値として「5」の進行速度(すなわち、1年で5より大きなSGSの増加)を使用することは、以下の2つの議論によって支持された。
【0128】
1. カットオフ値として「5」の進行速度(1)を使用すると、このサンプル集団のRA患者のほぼ20%が進行したRA患者として分類される。
【0129】
2. 臨床結果を測定するために使用される任意のスコアリング方法の値は、その信頼性に依存する。「変化に対する感度」を調べるための異なる方法が記載されている(Boini,S. and Guillemin,F.,Ann. Rheum. Dis. 60 (2001)817-827)。個々の患者の分類のための最良の信頼性スコアは、検出可能な最小差(smallest detectable difference)(SDD)である。SGSの確立に使用されたX線写真を評価する専門家は、SGSについてSDDが5.1と決定した。これは、約5のSGS-変化が2点で1人の患者の最小差であることを意味し、有意に識別され得る。
【0130】
したがって、以下の分類を使用した。
進行速度(1)または(2)>5:進行性疾患を有するRA患者
進行速度(1)または(2)≦5:進行性疾患をもたないRA患者
【0131】
この定義を使用し、本発明者らは以下の分類:
疾患進行を有するRA患者:59名患者
疾患進行のないRA患者:178名患者
を得た。
【0132】
実施例4
測定したマーカー
表2は、使用したアッセイを示し、試験形式ならびにアッセイの供給元を示す。ほとんどのアッセイは、マニュアルマイクロタイタープレート(=MTP)形式のELISAであった。RFおよびCRPをHitachi自動解析装置での均一な試験形式において測定した。尿中で測定したCartiLapsを除いてすべてのマーカー濃度を血清試料において測定した。CartiLaps値をクレアチニン結果によって標準化した。
【0133】

【0134】
実施例5
単変量解析
237名の全RA患者のベースライン試料を、表2に挙げた16のマーカーで調べた。各マーカー値を対数にし、ROC解析を行なった。表3は、各マーカーのAUC値および感度(90%特異性での)を示す。
【0135】

【0136】
8つのマーカーで70%以上のAUCが得られた。最良の感度は、90%特異性で37%のCRPを示した。予後因子として公表されている抗CCPがわずか0.59のAUCを示したことは非常に驚くべきことであった。多くの科学論文において、約3.0以上のオッズ比を有するバイオマーカーは、かなり楽観的に進行予測因子と称される。例えば、Syversen,S.W.,ら(Ann. Rheum. Dis. 65、Suppl. II (2006)110)は、抗CCP(OR=4.18)、RF-IgM (OR=3.12)ESR (OR=3.73)および女性(OR=3.29)が10年X線写真のRA患者の進行とは独立した予測因子であることを報告している。本発明者らが本発明らのRA集団の抗CCP(カットオフ>5U/mL)のオッズ比を計算すると、同様のオッズ比、すなわち4.6のORが得られる。それにもかかわらず、「4」または「5」のオッズ比は臨床日常業務において単に診断値を有するのではなく、高い特異性(少数の偽陽性結果に相当)が必要とされる。
【0137】
実施例6
多変量解析
進行したRA患者が限定数のため、患者集団を訓練組および試験組に無作為に分けることは可能ではなかった。したがって、外部相互検証(ECV)を行なった。ECVのため、外部Monte-Carlo相互検証のために訓練組を50倍(比率2(訓練サブセット):1(試験サブセット))に細分した(Dudoit,S.およびvan der Laan,M.J.,Statistical Methodology 2 (2005)131-154)。訓練サブセットに対して分類アルゴリズムを開発し、独立した試験サブセットにおいてアルゴリズムを検証した。
【0138】
分類アルゴリズムは、一般的な識別解析、すなわち、四分-および線形識別解析(McLachlan,G.J.,Discriminant Analysis and Statistical Pattern Recognition,Wiley Series in probability and mathematical statistics,1992)を普遍化したものである正規識別解析(RDA)を用いて作成した。分散行列の通常の最大尤度(プラグイン)推定値に対するRDA代替法が使用される。これらの代替法は、将来の誤分類リスクのサンプルに基づく推定値を連携的に最小限にすることにより個々の状況にカスタマイズされた値である2つのパラメーター(λ、γ)を特徴とする(Friedman,J.H.,J. of the American Statistical Association 84 (1989)165-175)。代替法として、Support Vector Machinesアルゴリズム(Hastie, T., et al., The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001)が同等の分類結果に適合され得る。
【0139】
マーカーパネルを段階的に構築し、分類課題について最良の単独マーカーから始めて総分類エラーがもはや顕著に変化しなくなったときに終わった。集中分布を得るため、単独マーカー毎に自然対数関数で変換した。
【0140】
実施例7
RA患者の疾患進行のリスクを評価するためのマーカーパネルの同定
多変量解析の目的は、最良の単独マーカーよりも高い感度を示すマーカーパネルを見出すことであった。特異性限界を90%に設定した。選択した第1のマーカーは35%の感度を有するCRPであり、第2のものは、感度を50%に改善するIL-6であった。第3および第4のものとして異なるマーカーを用いるいくつかの他の組合せがあり、これらは、総エラーを最小限に抑えることができる、および/または感度を改善することができる(表4)。すべてのこれらのマーカー組合せで、最も重要な2つのマーカーはCRPおよびIL-6であり、それにより、これらのマーカーパネルの重要なマーカーが示される。
【0141】
本発明の目的は、リウマチ学者が、RA患者が疾患進行のリスクにあるかどうかを評価するのを補助することである。同定されたマーカーパネルの診断値は、分類の総エラーによって表4に最良に反映されている。現在炎症の評価に使用されている単独の生物学的マーカーであるCRPは、0.228の総エラーを与える。単独マーカーとしてのIl-6もまた同様の総エラー0.247を示す。CRPおよびIL6の好ましい組合せは、分類を有意に改善し、総エラーを0.203に減少させる。第3および第4のマーカーを加えることは、最終的に誤分類を最小限にすることを補助する(総エラー0.196)。得られた感度50%は、本明細書に開示される方法に基づくと、これまでは不可能であったが、進行性疾患を有するRA患者の約2分の1が単一の時間点、すなわちベースラインで生化学的マーカー測定によって正しく同定され得ることを示す。この分類は、例えば、DMARDを用いた処置を開始する、または異なるDMARDの組合せを用いたより良好な治療スキームに変更するリウマチ学者の決定プロセスを補助すると予測される。
【0142】

【0143】
表4のマーカーCRPおよびIL-6ならびにマーカー組合せ(CRP IL-6およびCRP+IL-6+プロMMP3)のそれぞれのボックスプロットを図2〜5に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)液体試料を得る工程、
b)該試料中のC反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン-6の両方の濃度および任意に1つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびに
c)工程(b)で測定された濃度と疾患進行のリスクとを相関させる工程
を含む、関節リウマチ(RA)を有する患者のための疾患進行のリスクの評価を補助する方法。
【請求項2】
評価が行われる場合に、RA患者が疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)の群から選択される抗リウマチ薬物で治療中である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
任意に1つ以上の他のマーカーが骨または軟骨マーカー、滑液マーカー、他の炎症マーカー、遺伝的マーカーおよび放射線スコアからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の骨または軟骨マーカーがPINP、β-CrossLaps、CartiLaps、オステオカルシンおよびICTPからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の滑液マーカーがヒアルロン酸およびプロMMP3からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の遺伝的マーカーがHLA-DR4およびHLA-DRB1対立遺伝子からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の放射線スコアがSharpスコア、Sharp-Genantスコア、van der Heijde-Sharpスコア、Ratingenスコア、Larsenスコア、およびRAUスコアからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の他の炎症マーカーがSAAおよびE-セレクチンからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項9】
関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクの評価における少なくともCRPおよびインターロイキン-6を含むマーカーパネルの使用。
【請求項10】
請求項1記載の方法を行うためのキットであって、CRPおよびインターロイキン-6のそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬ならびに任意に測定を行うための補助試薬を含むキット。
【請求項11】
関節リウマチを有する患者のための疾患進行のリスクを評価するのに有用なCRPおよびインターロイキン-6の測定に適切な特異的結合パートナーならびに任意に1つ以上の他のマーカーに適切な特異的結合パートナーを少なくとも含むタンパク質アレイデバイス。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−506147(P2010−506147A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529589(P2009−529589)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008313
【国際公開番号】WO2008/037420
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】